好きな景色へ“住まい”を運ぶ建築 都城・Jyubako(重箱)
宮崎県都城市、Snow Peak都城キャンプフィールド内にある「Jyubako(重箱)」を訪れました。
緑に囲まれた自然の中にたたずむ、小さな木の建物。
所在地 宮崎県都城市(Snow Peak都城キャンプフィールド内)
名称 Jyubako(重箱)
構造 ヒノキ合板
建築家 隈 研吾さん × Snow Peak
この建物には一般的な住宅とは大きく違う特徴があります。
それは、「移動できる建築」であること。
今回は、建築家・隈研吾さんとSnow Peakが生み出した、新しい暮らしのかたちをご紹介します。
建築家・隈研吾さんについて
Jyubakoを手がけたのは、日本を代表する建築家隈研吾さんです。
以前ご紹介した「KIRISHIMA GREENSHIP icoia」でも登場しましたが、隈さんは
「負ける建築」という考え方で知られています。
建物が主役になるのではなく、
- 風
- 緑
- 光
- 土地の風景
そうした自然に寄り添い、人が心地よく過ごせる空間をつくることを大切にしています。
今回のJyubakoにも、その考え方がしっかりと息づいていました。

最大の特徴は「移動できること」
Jyubako最大の特徴は、建物そのものを移動できることです。
木造の建物はタイヤ付きのシャーシに載せられており、車で牽引することができます。
一般的な住宅は土地に固定されるため、建築確認申請などさまざまな手続きが必要になります。
一方、Jyubakoは条件によって「建築物」に該当しない可能性があり、これまでとは違った住まい方の可能性を広げています。
木だけでつくられた美しい構造

Jyubakoは、コンテナに木を貼り付けた建物ではありません。
ヒノキ合板だけで建物を支える モノコック構法 という構造が採用されています。
柱や梁に頼らず、壁や床全体で建物を支えることで、
- 軽さ
- 強さ
- 木のぬくもり
を同時に実現しています。
窓が景色をデザインする

室内は、およそ6帖ほどのコンパクトな空間。
しかし、一番印象的なのは、大きな四角い窓でした。
まるで一枚の絵画のように、外の景色を切り取ってくれます。
そして、この建物は移動できます。
つまり、窓から見える景色も、自分で選ぶことができる。
建物が景色を決めるのではなく、好きな景色に建物を運ぶ。
そんな発想に、とても驚かされました。
押川の視点
関之尾の滝を眺めながら歩いていくと、自然の中にそっとたたずむJyubakoが見えてきます。
建物が風景を邪魔することはなく、
- 風の音
- 川のせせらぎ
- 木漏れ日
そのすべてが建築の一部になっているようでした。
「建物に住む」というより、自然の中に身を置く。
そんな感覚を味わえる空間でした。
建築を学んできた私にとっても、とても印象に残る建築でした。

「住む場所」を選ぶ時代から「景色を選ぶ時代」へ
隈研吾さんは、
「人類の歴史を見ても、狩猟採集の歴史の方がずっと長い。閉じた箱に定住する今の住まい方は、人間という生物にとって本質的ではない。」
と語っています。
Jyubakoは、まさにその考え方を形にした建築でした。
住まいは固定されるもの。
そんな当たり前を、やさしく覆してくれる建築です。
まとめ
Jyubakoは、建物を運ぶための建築ではありません。
「好きな景色で暮らす」という、新しい考え方を提案する建築です。
自然に寄り添い、
風を感じ、
木のぬくもりに包まれる。
そんな時間を過ごしたい方には、ぜひ一度訪れてほしい場所でした。
都城を訪れる際は、関之尾の自然とともに、Jyubakoならではの空間をぜひ体感してみてください。

