【第2部】その土地、本当に使える!?宮崎でありがちな不動産事情とその対処法
本記事は、宮崎で実際によく起きている不動産相続の落とし穴を、全3回で解説するシリーズの第2回目です。
前回(第1部)では、宮崎市には
- 市街化調整区域が非常に多いこと
- 農地が相続財産に含まれやすいこと
この2つが、不動産相続の大きな「落とし穴」になりやすい、というお話をしました。
今回は一歩踏み込んで、なぜそれらが「負動産」になってしまうのかを、実際の相談事例とともに解説していきます。
市街化調整区域の不動産が「負動産」になりやすい3つの理由
理由① とにかく建築のハードルが高い
市街化調整区域では、原則として新しく家を建てることができません。
建て替えも、
- 同じ用途
- ほぼ同じ規模
といった厳しい条件がつきます。
さらに、市街化調整区域で家を建てるには、その人にしか与えられていない特別な許可(いわゆる「一身専属」)が必要なケースがあります。
簡単に言うと、「その家は、その人だから建てられた」という状態です。
つまり、別の人が同じ条件で建てられるとは限らないということ。
これが、相続後に大きな壁になります。
理由② 買える人が極端に限られる
市街化調整区域の土地は、誰でも自由に買えるわけではありません。
たとえば
- その中学校区に10年以上住んでいた人
- 条例で定められた条件を満たす人
など、購入できる人がかなり限定されます。
一般的な住宅購入希望者からすると、「買っても家が建てられるか分からない土地」という印象になり、どうしても敬遠されがちです。
結果として、売ろうとしても買い手が見つからないという状況に陥りやすくなります。
理由③ 使えなくても維持費だけはかかる
売れない、使えない。
それでも、
- 固定資産税
- 草刈りや管理の費用
は毎年かかります。
放置すれば空き家問題に発展し、近隣トラブルにつながるケースも少なくありません。
(※空き家対策については、過去のコラムでも詳しく解説しています)
実際にあったご相談①
市街化調整区域の実家を相続したBさん(50代・男性)
Bさんは東京在住。
宮崎市内にある、市街化調整区域の実家を相続しました。
建物は築50年以上で老朽化。
建て替えようにも、手続きが非常に複雑。
売却しようとしても、「条件が合わない」「買えない」と断られ続け、結局5年以上、年間10万円以上の維持費だけが出ていく状態が続いています。
Bさんは、「完全に“負動産”になってしまった」と肩を落としていました。
農地が「負動産」になりやすい最大の理由

― 農地法という高いハードル ―
農地には、農地法という特別な法律が適用されます。
農地法とは?
農地を守り、農業を続けられる環境を守るための法律です。
そのため、
- 農地の売買
- 農地以外への転用
には、原則として農業委員会の許可が必要になります。
農地は、誰にでも売れるわけではない
農地を売却できる相手は、基本的に
- 農業をしている人
- これから本気で農業を始める人
に限られます。
一般的な不動産のように、「売りたいから売る」ということができません。
さらに、市街化調整区域内の農地は、宅地への転用自体ができないケースも多いのが現実です。
実際にあったご相談②

農地を相続したCさん(70代・女性)
Cさんは、宮崎市内で約1,000㎡の田んぼを相続しました。
ご本人は農業をしておらず、売却を希望。
しかし周辺は高齢化が進み、新たに農業を始める人もほとんどいません。
結果として、
- 売れない
- 管理できない
-
草が伸び、近隣から苦情が来る
という状況に。
Cさんは、「売れないなら、正直、無償でも引き取ってほしい」と話されていました。
「相続放棄すればいい」は、実は簡単ではない

よくある誤解が、「いらない土地は相続放棄すればいい」という考えです。
しかし、相続放棄には注意点があります。
- 預貯金などすべての財産を放棄する必要がある
- 「負動産だけ放棄」はできない
- 他の相続人に負担が移る可能性がある
-
全員が放棄しても、管理責任が残るケースがある
つまり、都合の悪い土地だけ手放すことはできないのです。
放置すると、問題はさらに深刻化する

市街化調整区域や農地の問題を放置すると、
- 雑草・害虫・害獣被害
- 近隣トラブル
- 行政指導や罰則の可能性
- 次の世代への負担の先送り
と、状況はどんどん悪化していきます。
専門家としての意見

宮崎の不動産相続では、「相続してから考える」では遅いケースが少なくありません。
市街化調整区域や農地は、知らずに引き継ぐと、一気に“負担”に変わる不動産です。
大切なのは、
- その土地は使えるのか
- 将来、売れる可能性はあるのか
-
今のうちに整理すべきか
を、早い段階で見極めること。
不動産の実務と行政手続きを両方理解している立場だからこそ、「現実的にどうするべきか」を一緒に考えることができます。
次回予告(第3部)
【第3部】では、市街化調整区域や農地の相続問題をどう解決していくのか。
そして、専門家に相談することで見えてくる具体的な選択肢をお伝えします。



